2025年5月から6月にかけて、Instagramの「インサイト」機能に大きなアップデートが実施されました。特に注目すべきは、これまで可視化されていなかったリール(Reels)動画の流入経路がインサイト上で表示されるようになった点です。本記事では、SNS運用者やクリエイターにとって重要なこの機能改善の詳細を網羅的に解説します。
アップデートの時期と背景
今回のアップデートは、2025年5月末から6月初旬にかけて段階的に展開されたもので、iOSおよびAndroid版Instagramアプリの最新バージョンにより適用されました。これにより、インサイト画面の情報量が大幅に増え、リール投稿の分析精度が飛躍的に向上しています。
新たに追加されたインサイト指標
ビュー率(View Rate)
リールを視聴したユーザーのうち、最初の3秒以上視聴した割合を示す新指標。フォロワーとフォロワー外での比較も可能で、リール冒頭の引きつけ効果を客観的に分析できます。
経時ビュー数(Views Over Time)
投稿からの経過時間ごとに獲得した視聴数を可視化。過去のリール平均と比較することで、伸び具合の傾向を把握できます。
自動アドバイス(アクションヒント)
インサイト画面に「このリールは平均より20%多く見られています」といったメッセージが表示され、投稿改善につながるフィードバックが得られます。
データ範囲の拡大
インサイトの分析対象期間が最大90日間に拡張され、より長期的なコンテンツ分析が可能になりました。
ライブ動画の指標追加
これまで測定できなかったライブ配信動画のリーチやエンゲージメントが可視化されるようになり、ライブ施策の効果測定がしやすくなっています。
指標名称と定義の整理
再生回数やインプレッションなどの指標が「ビュー」に統一され、「平均視聴時間」なども表記が整理されました。より直感的で比較しやすい設計に刷新されています。
リールの流入経路が可視化:主な分類と特徴
従来、リールにおける流入元の内訳はインサイトでは確認できませんでした。しかし、今回のアップデートで以下のような分類で流入経路が表示されるようになっています。
- ホーム:フォロワーのタイムライン(フィード)からの閲覧。
- リールタブ:リール専用タブ内での表示。
- 発見:発見タブでの表示からの流入。
- 検索:発見タブ内の検索ボックスで検索を行なった後に表示されるエリアからの流入
- ハッシュタグ:タグ検索ページ経由での視聴。
- プロフィール:投稿者のプロフィールからの流入。
- ストーリーズ:他のユーザーや本人のストーリーズ経由での再生。
- その他:DMでのシェアや音源ページ経由などが該当。
これらの情報は円グラフやリスト形式で表示され、どこからの流入が多かったかを定量的に把握できます。
広告投稿への影響と仕様変更
今回のアップデートにより、「ビュー」指標はオーガニック(自然流入)のみを対象とする仕様に変更されました。広告を通じた視聴は別途広告マネージャーなどで確認する必要があります。そのため、広告とオーガニックの効果を明確に分けて分析することが可能となり、SNS広告施策のPDCAにも活かしやすくなっています。
従来のインサイトとの違い
- リールにも流入元データが表示:フィード投稿同様、リールにも「どこから閲覧されたか」が分かるようになった。
- 新しい指標の追加:ビュー率や経時ビュー数など、パフォーマンスの解像度が上がった。
- 分析期間の拡大:最大90日分のデータを参照可能に。
- 指標の統一と整理:ビュー指標への一本化などにより、シンプルで比較しやすくなった。
- UIの改良:プロフェッショナルダッシュボードからの導線が改善され、投稿別インサイトへのアクセスがスムーズに。
運用者・クリエイターへのメリット
コンテンツ戦略の精緻化
どのリールがどの経路で多く見られているか、視聴維持率がどうだったかを分析することで、投稿改善の方向性を明確にできます。
新規フォロワー獲得に直結
フォロワー外からの流入割合が把握できるため、リーチ拡大施策の成果が見える化され、新規フォロワー増加に向けた施策設計がしやすくなります。
広告費用対効果の見直し
広告とオーガニックの効果を切り分けて確認できるため、広告施策の最適化が図れます。
ターゲットごとの反応の違いを可視化
フォロワーと非フォロワーでのパフォーマンス差が明示されることで、ターゲットに応じたコンテンツ調整が可能になります。
Instagram公式の発信内容について
今回のアップデート内容について、Instagram公式ブログでの詳細な発表はありませんが、米TechCrunchなどの海外メディアではMeta社によるリール向け新指標導入について報じられています。加えて、過去にはInstagram CEOのAdam Mosseri氏が「視聴時間が今後のアルゴリズムにおいてより重要になる」と発言しており、今回の機能追加もその方針の延長線上にあると考えられます。
まとめ
今回のインサイト機能アップデートは、Instagramを活用して情報発信・商品PR・ファン獲得を狙うすべてのアカウントにとって、大きな武器となる内容です。特にリール投稿の流入経路可視化は、従来の運用では分かりにくかった拡散経路の見える化に寄与し、戦略立案や改善の精度を格段に高めてくれます。
今後もInstagramの進化を見逃さず、積極的に新機能を取り入れて、SNSマーケティングの成果を最大化していきましょう。